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酒造技術指導機関合同会議(23/10/17 開催)から

10月17日、酒造技術指導機関合同会議が開催され、会議の冒頭、国税庁審議官、及び、酒類総合研究所(酒総研)理事長のご挨拶の中で、「税務行政に直結した分析・鑑定業務への重点化、研究及び調査業務は分析及び鑑定の理論的裏付けとなる研究や分析手法の開発」に特化する方向で計画を推進する方針が述べられましたが、現在の国際化・グローバル化を考えると、中小メーカーの多い日本の酒造技術にとってはむしろ基礎的・基盤的な研究を積極的に実施していただきたいと感じました。
その後の会議の中で、酒総研から酒類等に関する放射能分析の現状と依頼分析の実施等、時宜を得た対応策が紹介されました。また、鑑定企画官室からは、国際機関により国際アルコール表が採択され、平成24年3月1日から施行されるので酒類業界に周知と技術指導を予定していること、また、酒総研から麹菌及び清酒酵母ゲノムデータベースの開発、清酒酵母の高エタノール発酵性の要因、清酒の老香原因物質DMTSの生成機構の紹介がありました。この中で、清酒酵母の高エタノール発酵性に関して、これまで清酒酵母が高濃度のエタノールを生成する理由が、発酵環境下における様々なストレスに強いからと、広く信じられていたことが全く逆で、むしろストレスに弱いことでいつまでもアルコール発酵を持続するために高いエタノールを生成することが明らかにされ、興味深い新知見であると同時に、今後の清酒酵母の研究・開発に大きな影響を及ぼす発表でした。