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第110巻6号 協会だより

昨年の今頃も沖縄はす でに梅雨入りしていまし たが、今年の飛鳥山公園 の紫陽花は、櫻と同様、 多少開花が早いようで部分的に咲き始めています(下スナップ)。日本各地では、そろそろ田植えが終了し、早植えの地域では、既に青々と育っている光景が目に浮かびます。地域によっては二毛作が行われ、春に麦を収穫し終えた畑に、灌漑により水を入れ水田として稲を植えるという早業をやってのけます。ところで日本の二毛作は何時頃から行われたのでしょうか?日本の水田稲作は、弥生時代に始まったとされる一方、麦に関しては平安時代に裏作の麦を売ったという史実があり、少なくとも平安時代には、二毛作が行われていたようです。遺跡から出土した当時の木簡に「6月中に田植えを終えその状況を報告せよ」とあり、作業の遅れは不作に繋がるため、役所が適切な水田管理を指示するために出した“お達し”と考えられています(九州大学、服部英雄氏)。灌漑は、連作障害を克服できる事から、このような穀物生産形態は世界的に珍しく、誇るべき農業技術と考えられ、地球温暖化等環境問題や食料問題解決にも見直すべき技術であると思います。この技術の根幹は水の豊かな日本の灌漑水利であり“美しい日本”の原風景にふさわしく、二毛作地帯は、一年を通じて緑の環境を提供しています。

 
 
 
 
 
 
 
 
◆全国新酒鑑評会も県、局単位の鑑評会も終わりましたが、皆様のお蔵の成績は如何でしたか? 醸造協会の関連事業として、4月23日に、醸造用資材規格協議会総会が開催され、その中で、一般社団法人 日本食品添加物協会 森將人氏の「食品表示基準に伴う表示改訂について」の特別講演がありました。既に、マスコミ等を通じてお聞きかと思いますが、食品衛生法、JAS法、健康増進法の3法を、食品を摂取する際の安全性と消費者が自主的で合理的な食品選択に資するために、一元化した食品表示法が成立しており、この4月施行に向け、総務府令、各省令が公表され、添加物としての醸造用資材規格や酒類の表示にも関連がありますので、改正点等について今後、皆様にお伝えする機会があろうかと思います。
 
◆ゴールデンウィーク明けの5月13・14日経営セミナーが開催され、今回は、清酒の世界戦略を中心に、若手蔵元の思い切った発想の転換を提起するセミナーになりました。演題と話題を2,3紹介しました。「今飲むべき酒は5タイプ」日本輸出協会会長、松崎晴雄氏は、均一化した清酒を甘味、濃醇、酸味、吟醸香に関して見直す必要性がある。「日本酒のマーケット現場からの提言」と題し、朝日屋酒店、小澤和幸氏は、日本酒専門店として、日本酒ブームを実感し、専門店としての仕掛けについて紹介。「来場者数25万人! 日本最大の「酒まつり」にみる集客の秘訣」と題して、東広島市観光協会、上向隆氏。「資金をクラウドファンディングで集めてメーカーが酒を造る」では、石井酒造(株)石井 誠氏が「20代の大吟醸プロジェクト」を企画し、約200人から約200万円の資金を集めたプロジェクトを紹介。「ものづくりの理想郷 ~日本酒業界で今起こっていること~」と題し、平和酒造(株)山本典正氏は、若手蔵元の思いきった改革事例を紹介した。「外国人も日本酒がお好き ~観光客を日本酒ファンにしろ~」では、(株)アンカーマン、和田 直人氏が平成24年の外国人旅行客が約千3百万に達し、そのリピート率が57%であることから、日本酒蔵元の酒蔵ツーリズムなどを生かしたビジネス展開について。「日本の梅酒を世界へ ~CHOYA100年の歩みと今後の展開~ 」チョーヤ梅酒(株) 金銅 俊二氏。「新しい時代の日本酒マーケティング」と題して、明治大学専門職大学院教授、上原征彦氏が締めくくりの講演。全体に活発な質疑で終了。