協会だより

第110巻1号 協会だより

明けましてお目出度うございます。本年は、十二支の未(ひつじ、み)の年。植物が鬱蒼と茂って暗く覆う樣を表し、また、「味」(み:「あじ」)の意味もあるとのことで、”味”な年になって欲しいものです。本年も「醸造協会だより」よろしくお願いいたします。 ところで、昨年12月10日、酒類総合研究所東京事務所(北区滝野川)の赤煉瓦酒造工場が、重要文化財に指定されました。赤煉瓦建築は、歴史的・文化的な価値から国内各地に保存されているようで、写真は”日本赤煉瓦建築番付”の2013年版で、赤煉瓦ネットワークから発表されており、番付の順位の根拠はよく分かりませんが、研究所の赤煉瓦工場は、”東の小結”にランクされていました。
 

 
◆11月13日、平成26年度醸造用資材規格協議会セミナーが、海外戦略に関連するテーマを主体に、神戸市のサンセンタープラザで開催され、昨年より11名多い52名の参加をいただきました。プログラムは、「新酵母「きょうかい酵母1901号(KArg1901)」の概要について」(公財)日本醸造協会 岡崎直人氏、「発砲清酒をはじめとした清酒の新しい取り組みについて」黄桜酒造(株) 北岡篤士氏、「『真澄』の海外戦略とは ~輸出への取り組み~ 」宮坂醸造(株)キース・ノーラム氏、「活性炭を知って、作って、使ってみて」日本エンバイロケミカルズ(株) 柳 寿一氏、「酒類の安全性に関する最近の話題」(独法)酒類総合研究所 橋口知一氏の5題。
 
◆11月27日、(公財)日本醸造協会の臨時評議員会・理事会が開催され、平成27年度の事業計画と予算案が審議され、承認されました。事業計画として、新規育種酵母の造成、既存株発酵特性の改良、年々増加する頒布株の保存法、新規WEB講習の立ち上げ、HPリニューアルなどが盛り込まれました。
 
◆11月29日、日本ブドウ・ワイン学会の評議員会・総会が山梨大学で開催され、事業報告、事業計画及び役員案が審議・承認されました。2015年大会は、2015年11月7日、新潟県上越市 上越教育大学で岩の原葡萄園の棚橋博史氏を大会委員長として開催が予定され、次期会長にマンズワインの松本信彦氏が承認されました。総会の前に、セミナーとして、三重大学大学院生物資源学研究科 亀岡孝治教授の「プレシジョン・ヴィティカルチャー(PV)のためのスマートセンシング」とクレオパトラ・シラ氏による「オーク樽熟成がワインの品質に及ぼす影響」が講演されました。
 
◆12月3日、洋酒技術研究会12月例会が開催され、片岡物産(株)食料第二部 磯田康孝氏による講演で「海外市場動向 ~TPPを見越して」と題する講演で、世界的にスピリッツは増加傾向で、特に中国、インド。ビールは米国、中国で増加し、独で減少。ワイン消費は世界的に増加、価格も上昇傾向にある。中国のワイン生産量は大きいが輸入国。日本はEPA,TPP各国と交渉中であり、マレーシア、シンガポール、ベトナムはそれぞれの国内消費が少ないので今後を注目。続いて、パネルディスカッションのための基調講演として東大大学院 農学生命科学研究科 東原和成 教授の「香りを感じるメカニズム」では、マウス嗅上皮の嗅覚受容体研究が進展しており、800種類が確認され、匂い物質が受容体に受容されるパターンで匂いを識別している。ヒト嗅覚受容体は396種類ある。『化学受容の科学』(化学同人2012)がよい参考書と紹介。その後、東原和成 教授と司会者を含め、7名によるパネルディスカッション「洋酒の香りと愉しみ」が行われ、各酒類について「よい香とは」が中心に討論され、ほとんどの場合、成分のバランスが最も重要であること。通常、オフフレーバーとされている、例えば、ダイアセチル、DMTS、日光臭、グアイアコールなどがバランスによっては、必ずしもオフフレーバーではなく、濃度とバランスによって特徴香と認識されることが分かってきている。東原 教授から、受容体からのシグナルが脳で認識・記憶されることと香りに対する各人の嗜好の違いについての研究が紹介され、最後に、現在、日本でワイン法の制定について議論されているが、法で首を絞めて、楽しく飲めなくなるようなことにならないようにとのコメントが印象的でした。