協会だより

第109巻10号 協会だより

9月も半ばを過ぎ、東京では秋祭りが終わり、彼岸花が咲き出しています。猛暑も落ち着いた途端、賑やかだったセミ時雨が止み、急に静かになりました。しかし気温が上がって少し暑いかなと思った途端、セミが鳴き出すことから、暫くは生き残って敏感に温度を感じて存在を主張しているかのようです。猛暑日もありましたが、8,9月には台風10,11号が日本列島に居座り、各地で豪雨に関する「特別警戒警報」が発表されました。残念なことに、広島では集中豪雨による土石流によって死者74名という惨事を招いてしまいました。日本全土に及んだ影響は、集中豪雨と共に日照不足をもたらし、その影響で野菜価格の高騰が続いており、今後、稲作や果物への影響が心配されます。
そんな中、醸造協会セミナーも「第11回 清酒・焼酎製造技術セミナー」で一段落し、当会も”きょうかい酵母”の製造に専心し、皆様に品質と安心をお届けできるよう努力して参ります。
◆9月16~18日に開催された清酒・焼酎製造技術セミナーには、延べ46名の参加をいただきましたが、近年になく参加の多かった昨年と比べると、20名近く減少しました。理由は調査中ですが、どうやら近隣地域での開催行事と重なってしまったようで反省材料です。内容的に興味深かったいくつかを紹介しましょう。
清酒製造技術に関して、新技術によって清酒のアルコール分をコトロールする方法で、アルコール度数30%のリキュールが製品化され、製品を会場できき酒することができました(西野金陵(株)、西原幹広氏)。新技術は、ゼオライト膜によって清酒中から水のみを分離する方法、及び、性質の異なるゼオライト膜で清酒中からアルコールのみを分離する方法に関するものでした(三菱化学(株)、垣内博行氏)。今回の講演では、前者の方法で純米大吟醸酒を約倍に濃縮したリキュールが紹介されました。濃縮の過程でアルコール分が22%を超えなければ、酒税法上、清酒に扱ってよいとのことでした。後者については実施例の紹介はありませんでしたが、低アルコール清酒の製造や、清酒以外の分野にも応用できそうな興味深い新技術でした。
焼酎製造技術に関して、「自然に立ち上がる焼酎香気成分の分析法」(沖縄工業高等専門学校、平良淳誠氏)によって主として”泡盛”の古酒化に伴う製品の常温での香りの変化を調べ、これまで泡盛の古酒化の最も典型的な指標とされたバニリンが含まれない古酒が散見されること、また、定量されたバニリン含量の少なさから、バニリン以外に泡盛古酒の特徴成分があるのではとの結論でした。今後の研究でバニリンの寄与が明らかになることが期待されます。
この他にも世界へ日本酒を発信するための技術や販売戦略など興味深い話題が提案されたと思います。秋、冬に向けて、日本酒の需要期を目指して、酒販店や消費者を対象に展示会、試飲会などが盛んに開催されています。日本酒が食中酒であり、日本酒に相性のよい「和食」「つまみ」とコラボレートした展示会のスナップです。