醸造業界で活躍する方々の「自分のお気に入りの醸造物・それにまつわる思い出」「醸造にかける想い・抱負」等を綴っていただく『いい醸!』。発表いただいた方の紹介により次回のご担当者が決まるため、意外な繋がりも見えるカモ!
 あなたが発表する日も遠くありません。その際はぜひ思いの丈をぶつけてください。

 更新は毎週月曜日・お昼の12時です!


5月 19 2014

西日本食文化研究会 主宰
和仁 皓明

 

ご氏名をお願いします

和仁 皓明 (わに こうめい)

 

現在のご所属などは?

西日本食文化研究会 主宰

 

代表的な活動

福岡、山口、広島、京都各地に在住の食文化研究者によって組織された研究会で、結成以来十数年にわたって比較食文化の立場から世界各国の食文化事象の年表をコツコツ作成しています。

 

思い出の醸造物or 好きな醸造物or最近はまっている醸造物などを一品

秋田県湯沢市、両関酒造株式会社製「本醸造・辛口、両関(通)」

 

その理由やエピソードをぜひ!

かつて大吟醸ブーム(まあ今でも落ち着きながら継続しているが)が巻き起こって、猫も杓子も吟醸香がなければ日本酒にあらずみたいなムードが清酒醸造界を席捲したことがあった。確かに当時食事とともに楽しむ酒として清酒の消費量は下振れし、ワインの伸び率は目覚しかった。その原因は清酒の風味の個性のなさに帰せられると評論家たちはしたり顔で述べ立てていた。

この意見私のセンスと違うなあと、永年来の旧友両関酒造の伊藤雄太郎会長に「おい、清酒という酒は一升飲んで飲み飽きしない酒じゃあないのか。量的に桁が違うんだからワインの後追いするのは止めたほうがいい」とまくし立てたものだった。

数年後、伊藤会長から「これどうだ。数ヶ月毎晩飲んでみたが飲み飽きしないよ」というコメント付きで上記の「両関(通)」を送ってくれた。それ以来近所の酒屋さんに配送お願いし、家飲みはもちろん、行きつけの寿司屋さん、飲み屋さんに置いてもらって「いつもの辛口、ゆるめのお燗!」で通っている。

吟醸香も食前酒にちょっと一口というなら、いい切子のグラスで楽しむのもお洒落。だが清酒なら最低五合くらいは飲んでもらわんと、と願っている。

 

思い出の写真


 

 

 

 

 

 

 
83歳になりましたが、毎月2回チェロ教室のレッスンに通っています。お弟子さんたちの発表会がありますから、年齢かかわりなく小学生と並んで練習成果を人前で披露します。写真は昨年の発表会でチャイコフスキーの小品2曲を演奏したときのものです。写真だけで音が聞こえないところがいいのです。

 

ご略歴

1931年北海道生まれ、東北大学農学部卒、乳業会社で研究開発の仕事に従事、退職後東亜大学大学院で食文化講座を担当。現在Jミルク(元日本酪農乳業協会)の「乳の社会文化ネットワーク」代表幹事ほか兼務。

 

趣味

下手なチェロ演奏と男の手料理(褒めてくれる人だけにご馳走)。

 

ご紹介者・本間様からのメッセージ

和仁先生

食文化に造詣が深い和仁先生は好奇心も旺盛です。

定年退職後、下関の東亜大学で食品安全工学科の教授をされていた頃は、皆を自宅に招いては料理を振る舞っていたので、学生たちにも大人気。とにかく何でもよく知っていらっしゃるので、お話は楽しく知的好奇心を刺激してくれます。

人気者の先生はあちこちに引っ張りだこですが、時々、先生の顔を見に行きたくなってしまいます。また楽しいお話を聞かせて下さいね。

 

本間様へメッセージを!

本間るみ子様

このコラムにお呼びいただいて有難うございました。本間さんが日本のチーズ食文化の成長と定着になくてはならぬ人であることは、今更いうまでもないことですが、私自身一番有難いことだと思っているのは、本間さんが経営なさっているチーズショップ「フェルミェ」で、日本の若手のチーズ作りの製品を取り扱って、それを全国規模の流通システムに乗せていただいていることです。

彼らは高い志を持った個々の起業家ではありますが、しかしほとんどが小規模な家族経営で、メディアへのコミュニケーション力に乏しいのが現実です。その人々が本間さんの商品企画力のお眼鏡にかなって、全国区に登場するということがどれだけ励みになっているかを想像します。

まだまだ日本のチーズ食文化は伝播・導入の過程で、幼い段階だと思っています。しかし豆腐が数百年間の導入過程をへていまや日本人の食卓に欠かせない食素材になっていますね。チーズも必ずそうなります。

ウン、それを見届けるにはお互い長生きしなきゃだめですね。

 

最後に今後の抱負や期待することを教えて下さい!

最近「和食」の食文化がユネスコ無形文化遺産に登録されました。日本の食文化の成立過程をみますと、大陸からの弥生文化の伝播以来ほぼ2千年間くらいの間に、多種多様の食素材、調理器具、調理・調味法、膳のしつらえ、酒・飲み物など食成立の要素が、いろいろな国から伝播・導入されて現在の「和食」が成り立っています。

ほんの100年前にはビールは異人の飲み物、しかし現代では「先ずビール」で和の会食が始まります。さて?ではビールは和食に不可欠の要素ではないのか?同様に100年前にはカレーも異人の食べ物、しかし現代ではカレーのないサラリーマンの昼飯メニューは想像できません。カレーはお箸ではなくスプーンでいただきます。さて?スプーンは和食に不可欠の食具ではないのか?

私の好みかもしれませんが、よく吟味された吟醸酒はお刺身よりもカルパッチョのほうがなじみやすいかなと感じています。

こうしてみると文化現象というものは、時々刻々自らが自然的に変貌し、また他からの情報伝播に影響されて他動的にも変貌していきます。その意味で、ユネスコの「和食」文化の登録とは、この数千年の食の歴史の過程で、日本人が多様な食の要素を組み合わせて世界に比類ない食の体系を構築し、かつそれを日々変化させ洗練させていっているその文化構築力に対する認識だと思っています。

先日、クリームチーズの酒粕漬(秋田『アマノストア』製)を試食する機会がありました。なんとまあすごい日本人の同化力かと感嘆しました。そういう眼で現代の飲食の変貌を見ますと、そのダイナミズムに感動を覚え、その変化の坩堝の中にいることを実感します。