醸造業界で活躍する方々の「自分のお気に入りの醸造物・それにまつわる思い出」「醸造にかける想い・抱負」等を綴っていただく『いい醸!』。発表いただいた方の紹介により次回のご担当者が決まるため、意外な繋がりも見えるカモ!
 あなたが発表する日も遠くありません。その際はぜひ思いの丈をぶつけてください。

 更新は毎週月曜日・お昼の12時です!


9月 30 2013

有限会社かんずり
東條 邦昭

 

ご氏名をお願いします

東條 邦昭(とうじょう くにあき)

 

現在のご所属などは?

有限会社かんずり 代表取締役

あらい道の駅株式会社 代表取締役

新潟県の観光と物産・催事団体 大にいがた祭実行委員会 会長

 

代表商品

「かんずり」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

かんずりは妙高市特産の唐辛子の発酵調味料です。唐辛子を塩漬けにして、雪にさらし、すり潰したものを柚子・米糀・塩などを混ぜた後熟成させてつくられます。

まず、秋口に収穫した唐辛子を水で洗い、塩漬けにしておきます。次に「雪晒し(唐辛子を雪の上に撒く)」を3~4日かけて行います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、雪から回収した唐辛子をすり潰して、柚子、米糀、塩などと混ぜて3年もの間、倉庫の中で熟成・発酵させます。

また、発酵を促すため年に一度、容器の中の唐辛子をかき混ぜて空気を入れる「手返し」を行います。長年の経験でこの手返しの感触で発酵の進み具合がわかります。

 

 

 

 

 

 

 

 

この作業を二年くり返し、三年目の最後に倉庫から外に出し、冬の寒さにさらす「寒ざらし」の作業に入ります。この作業には、かんずりの味を引き締める効果があるといわれています。その作業の後、瓶に詰めてかんずりの完成です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

思い出の醸造物 or 好きな醸造物 or 最近はまっている醸造物などを
一品教えてください

徹底的にこだわって造っている「かんずり」を紹介させていただきます。

3年前に新装となった新社屋です。中の「かんずり工房」には唐辛子の七宝焼がズラリと並んでいます。

 

 

 

 

 

 

 

戦国武将越後の上杉謙信の「天地人」作家 火坂雅志氏の本の中にも3面ばかり登場します。正に兵糧として「かんずり」がこの地方のみに残っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

販売ルート

当初は近隣の温泉地や販売店での「おみやげ品」として委託販売で中々売れませんでしたが、唐辛子の「雪さらし」が冬の風物詩としてNHKをはじめ民放、新聞、業界紙等で広く取り上げられるようになり、辛口ブームや辛党の口コミも相まって徐々に全国に広まったように思います。最近ではネット販売や、輸出商談会等にも出展しジャパニーズ・スパイスとして認知されつつあり、ポチポチ商談が入っています。

6次産業のモデル

地元産の唐辛子、米糀、海水塩、原料栽培から加工、商品、販売まで気の遠くなるような時間と手間がこの商品にはかかりましたが、輸出商談もあり、これからが本番だと考えています。お陰様で山間地の集落に唐辛子団地が集約されつつあり、地元農家の人手も借りて2~3年の内に「かんずりのふる里」として地域開発も併行して企画したいと考えています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

かんずり用唐辛子の栽培風景

 

北米での思い出

昭和41年、私が23歳の時、国の代表(13人の1人)で北米へ留学するチャンスがありました。私は「かんずり」を持ち込み、ニューヨークやロサンジェルスの日系人レストランでわらじのように大きい1kgもありそうなステーキをガツガツ食べる外国人に「これをつけて食べてみて」とかんずりを渡しました。

すると「ジャパニーズ・スパイス、デリシャス、デリシャス」とベタ誉めです。もちろん私も食べましたが、ステーキそのものも滅多に食べたことが無いのに「かんずり」を塗って食べてみると、かんずりの適度な辛さが油味をうまく中和して、とても食べやすいのです。

これはヒョッとして……いつか日本のレストランでも使えるな……と直感しました。帰国して私はすぐに焼鳥屋にかんずりを使ってもらいました。今ではこの地方の焼鳥屋は七味や一味ではなく、「かんずり」が定番です。焼鳥の追加ではなく、かんずりの追加をオーダーされると少し困るけど、それ以上に酒やビール、焼酎のおかわり追加が増えるので……と店主もニンマリ。

 

ご略歴

1943年(昭和18年)生まれ

1962年 県立新井高校を卒業後、家業を手伝い始め、早くから実質的な経営者となる

1979年から新井市議を4期務め、市議会の産経委員長や副議長を歴任するも、政治も商売も本物の時代。今は商売一筋です。

 

趣味

書道、七宝焼

でも、本当の趣味は唐辛子です。

 

ご紹介者・東様からのご紹介文

HPを読まれる皆様方へ、東條邦昭さんのご紹介を致します。

上越の農家さんで造られる伝統の発酵食品「かんずり」(寒造里)の事業化を、一個人さんとして、お父様が開業されました。

お父様の事業を、ご自身が一段と経営拡大され、個人商店さんから新潟県内の大手、食品企業として市中の雇用をになわれています。ご長男さんは専務取締役として海外輸出も手掛けられ、更なる販路拡大されています。

地域の伝統発酵食品「かんずり」は唐辛子の栽培、香辛発酵調味料の醸造加工、自社販路開拓で六次産業を可能とし、妙高市の農商工の発展に大きく貢献されています。

 

 

 

 

 

 

 

 

農大研修生来訪時の集合写真
前列左から3番目 東京農業大学 東氏
前列左から4番目 有限会社かんずり 東條氏

 

告知などがございましたらお願いします

かんずりは味噌や酒と同じで糀を多量に使用する日本の伝統的発酵食品です。塩糀が今ブームですが、当社は創業以来、塩、糀、唐辛子をブレンドした発酵食品かんずりを製造・販売しております。日本の戦国時代からの塩糀の元祖といっても過言ではないと自負しています。

製品としては高級品としてのウニビン入りの瓶製品が主流ですが、最近は発酵食品ブームもあって他社からのコラボ商品の提案も多く、かんずり明太子・ソーセージ・柿の種・カレー・ドーナツ・あられ等、多くのコラボ商品が発売されています。ぜひ多くの皆様に味わっていただきたいと思います。

また、3年前に新築した工場内にかんずりの唐辛子工房を開設し、唐辛子に関するあらゆる資料や民工芸品を展示しています。(常時募集中です。)

 

最後に今後の抱負や期待することを教えて下さい!

大手企業から毎月何トン位なら業務用として出荷してもらえますか?とか海外出展のブースでも輸出はどれ位出来ますか?といった質問をいただき戸惑っています。創業時からの6次産業を自負していますので、輸入材料は絶対使用しないことから、原料の「かんずり用唐辛子」の生産が間に合わないからです。

しかし当社が団地化した唐辛子団地は、毎年徐々に規模も拡大しつつあり、国の荒地再生事業の補助金とタイアップして栽培面積も一気に拡大出来そうではあるのですが、それに伴う関連施設にも金がかかりそうです。そこで当社の社訓「オンリーワンの自覚と誇りと忍耐をもって一本のかんずりを世に出そう……」を思い出しながら、今後共背伸びせず、出来るところから着実に固めていきたいと思っています。