醸造業界で活躍する方々の「自分のお気に入りの醸造物・それにまつわる思い出」「醸造にかける想い・抱負」等を綴っていただく『いい醸!』。発表いただいた方の紹介により次回のご担当者が決まるため、意外な繋がりも見えるカモ!
 あなたが発表する日も遠くありません。その際はぜひ思いの丈をぶつけてください。

 更新は毎週月曜日・お昼の12時です!


6月 10 2019

味酒 かむなび
伊戸川浩一

 

ご氏名をお願いします

伊戸川 浩一(いとがわ こういち)

 

ご所属

『味酒(うまざけ) かむなび』店主

 

思い出の醸造物 or 好きな醸造物 or 最近はまっている醸造物を教えてください

三井の寿 『厳醸美田』 山廃純米大吟醸 1999BY


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その理由は

「マスターの一番好きな日本酒はなんですか?」
「今まで飲んだお酒の中で一番おいしいお酒って?」
接客業をしていると、お客様にわりとよく聞かれる、けれども答えるのにいつも悩んでしまう質問です。
我々にとって「一番良いお酒」とは、「今、目の前にいるお客さんに、今、お出しすべきお酒」が全てであり、その瞬時の判断においては「過去の記憶」だとか「自分の嗜好」だとかは消し去ってしまいます・・・

なんてことを考えてしまうと、この質問に答えられなくなりますから、せっかくですから昨晩のお客さんにお出しして喜んでいただいたお酒を選びました。

私が三井の寿の蔵にお邪魔したのは、1998年。当時の杜氏は、菊姫で農口杜氏の薫陶を受け若くして三井の寿の杜氏に就任された方でした。単なる学生の身分でお邪魔したにもかかわらず、「九州で山廃仕込みをする意味」「蔵人の労働環境をいかにすべきか」などなど、酒造りにまつわることを熱くそして諭すように説明して下さいました。また、「菊姫では大吟醸クラスは速醸仕込みだけだったので、今あえて山廃純米大吟醸にチャレンジしている」ということも。
結局、「厳醸美田」はその時の2年だけ醸され、しばらくして杜氏も退職されてしまったため、私にとっては完全に過去のお酒となっていたのです。

ところが、去年からお付き合いしている、ある地方都市の酒販店でこのお酒がまだ少しだけ残っていることをたまたま発見!
10数年ぶりの再会でも衰えを知らず深い輝きをたたえ続けていたこのお酒は、当店の現在の「とっておき」として、大事に扱わせていただいている次第です。

まあ、こんな思い出も、目の前のお客様にとっては「また別の話」かもしれませんが。

 

ご略歴

1970年 神奈川県生まれ
1995年 学生として大阪へ
2000~2006年 『山中酒の店』直営の飲食店にて勤務
2008年 『味酒かむなび』をオープン。現在にいたる。

 

趣味

茶道

 

ご紹介者・井上様からのメッセージ

伊戸川さん
思い返せば、私が20代前半の頃、蔵元さんや料理屋さんなど色々連れていって頂いた経験が確実に今の私の礎になっています。本当にありがとうございます。
ユーモア溢れるアイディアとエネルギッシュな姿勢にはいつも感服させられています。今後ともよろしくお願いします。

 

井上様へメッセージを!

井上君とは、お酒について語り合ったことより、酒米を刈り取った後の田圃で騎馬戦をしたり、一緒に富士山に登って山頂で乾杯したり、そんなことのほうが良き思い出になっています。
彼の「あふれる知性」を置いといて、「(意味が無いかもしれぬ)衝動」こそが明日の日本酒業界を切り開いてくれると信じています。

 

告知など

仲間の飲食店「蔵朱」「酒や肴 よしむら」とともに「日本酒卍固め」というプロジェクトを作り、『上方日本酒ワールド』と『日本酒ゴーアラウンド』を主催して10年になります。大阪という「一地方都市」発信のイベントがどこまで世界にすそ野を広げられるかを楽しんでいます。

 

今後の抱負や今後へ期待すること

茶道はお客様に誘われて、何の気なしに四十の手習いとして始めてみたのですが、今ではすっかり「日本酒」の次に大事な存在になっています。そして、茶道の「現状」が日本酒のそれとかなり似ていることも後になって気付いてきました。

「過去」には学びますが「過去」には決して戻られない。そして、必ずしも「未来」は「過去」の延長線上には無いかもしれない。そんな世界に首をつっこませて頂いていることに、この上ない感謝と喜びを感じています。

 

リンク

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